溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 維心さんの心を楽にしてあげたい一心で体を重ねた一夜だったけれど、その日を境に私たちの関係はどこかぎこちなくなってしまった。

 もちろん、表面上は平穏な結婚生活は続いている。

 けれど維心さんとは自然と別の部屋で眠るようになり、彼の出張が増えたことも重なり、お互いの気持ちがますます見えなくなった。

 会社に行って仕事をし、維心さんがいてもいなくても寂しい気持ちになるマンションに帰ってきて、ただ生きるために食べたり眠ったりする。

 私たちはもうダメかもしれない。佳代にそう打ち明けて逃げようか。

 時々そんな思いが過るようになったが、それでも維心さんのもとを離れる決心がつかない。

 そうして味気ない日々を過ごすこと、およそ三週間。眠る前に自分の部屋のベッドでスマホを眺めている時に、私は気づいてしまった。

 毎月二十八日周期で欠かさず訪れていた生理が、一週間以上遅れている。

 このところ精神的に不安定だから、ただの生理不順かもしれない。でも、最後に維心さんと体を重ねたあの日は……アプリが教えてくれた排卵日だった。

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