溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
耳もとで呆れた声がそう囁き、優しい腕がふわりと私を抱き寄せる。私はなにが起きたのかわからず、頭が真っ白になった。
呆然としているうちに元木くんはそっと体を離し、苦笑する。
「部長と結婚してから、早坂はいっつも悩んでる。顔を見てりゃわかる」
「そ、そんなにわかりやすいかな、私」
「いや、早坂がわかりやすいっつーより」
元木くんは一度目を逸らし、気まずそうに鼻の下を擦る。それからもう一度私を見ると、観念したように笑った。
「好きな相手だから、わかっちゃうんだよ。早坂の視線がいつも部長に向かってるのとか。最近は、部長を見ていつも切なそうな顔になるのとか」
「え……?」
好きな相手って、まさか……。
「不毛な恋、してるって言ったろ」
照れくさそうに微笑みつつも、瞳の色は真剣だ。
元木君の不毛な恋。その相手がまさか、私だったなんて。
「さ、俺の極秘情報を教えたんだ。早坂もいい加減口を割れよ」
自分の恋が叶わないと知ってて、それでも好きだと伝える勇気。いつでも優しさを向けてくれる、器の大きさ。元木くんは本当に、すごい人だ。
維心さんとのことをありのまま相談したとしても、いつか私が危惧したような、厳しいことはきっと言わない。