溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

「うん。あのね――」

 私はすべてを彼に白状した。妊娠の事実、美久さんの件、出張帰りの維心さんのスーツから出てきたもの。

 維心さんと結婚前に半年ほど交際していたというのは嘘で、私たちの結婚は、彼が跡継ぎを残すために望んだ子作り婚であったということも。

「ちょっと待ってくれ。なんだそれ。子作り婚? プロポーズの時、部長にそう言われたのか?」
「直接言われたわけじゃないけど、ほかに彼が私を選ぶ理由が見つからないの。実際、彼は子どもを欲しがっているし、ご両親からも期待されてる」

 混乱気味の元木くんに、私は当時を回想しながら説明する。あの突然のプロポーズからまだひと月余りしか経っていないのに、なんだか遠い昔の出来事みたい。

「それでも時々は普通の夫婦みたいにさ、手を繋いで歩いたり、同じものを食べて笑いあったり、キスをしたり、幸せな時間もあったんだよ? だけど、いざ維心さんの心に別の女の人がいるかもしれないってなったら、自分の存在価値がいよいよわからなくなって」

 ざわ、と風が木を揺らし、金木犀の甘い香りが私たちの間を通り抜ける。元木くんはしばらく難しい顔で腕組みをし、なにか考えていた

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