溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
『違う……そうじゃなくてさ。私と玄心がどうして子ども作らないか、知ってる?』
どうして今、そんな話をするのだろう。不思議に思いながらも、酔っ払いの話に脈絡を求めても無駄かと思い、少し考えてから返事をする。
『ああ、玄心に聞いたことがある。いつまでも、恋人のような関係を保ちたいのだろう?』
俺がそう尋ねたところで、彼女の部屋の前に着いた。美久は俺の腕から手を離すと黙ってキーを取り出し、ドアのロックを開ける。
そして、ドアを半分ほど開けたところ、美久が俺を振り返る。
『ねえ、ちょっと寄っていかない? 飲み直そうよ』
今でさえ足元もおぼつかない酔っ払いのくせに、なにを言っているのか。
呆れた俺は苦笑を漏らした。
『もう酒はやめておけ。きっと疲れているんだ、早く寝ろ』
『……やめてよホント。その、お兄ちゃん面』
美久はぼそっとそう呟くと、俺の腕を強引に掴んで、部屋の中に引き込む。
唖然とする俺の胸を両手で押して壁に追い詰め、苦しげな瞳で俺を見上げる。
『好きだったの、ずっと……維心くんが』