溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 絞り出したような美久の声が、静かな部屋に響く。しかし俺はなにを言われたのかわからず、彼女に聞き返す。

『なにを言っている? 美久が好きなのは玄心だ。だから結婚したんだろう』
『違う。玄心は全部知ってて……それでもいいからって、私と結婚したの。今日、私が維心くんに告白することも、全部知ってる』

 ますます混乱して言葉を失う俺に、美久はすべてを話した。

 美久は幼いころから俺に片想いをしていたが、高校生の頃それに気づいた玄心が、焦って彼女に告白したそうだ。玄心は、子どもの頃から美久が好きだった。

『兄貴なんか好きになったら絶対に苦労する。俺にしときなよ。幸せにするって、絶対約束するから』

 美久は当時、彼女なりに俺にアプローチしていたがまったく想いに気付いてもらえず心が折れかけていたらしい。なので、迷った末に玄心からの告白を受け入れた。

 玄心は言葉通りに彼女を幸せにしようと努力したが、それでも美久の心の中にはずっと俺がいたのだという。

< 195 / 240 >

この作品をシェア

pagetop