溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「佳代? これってどういう……」
「ゲームは安静中にやっていいのか自信がなかったから、聴いてるだけで癒される、CDにしてみたの。この病院特有の消毒液の匂いを嗅ぎながら、イヤホンでイケメンドクターにあれこれ囁かれる……考えただけで入院生活が一気に楽しくならない?」
目を輝かせて力説する佳代に、思わず笑いがこぼれる。
ホント、佳代はいつでもどこでもぶれないなぁ。でも、久しぶりにくだらないことで笑った気がする。なんだか少し、心が軽くなった。
「ありがとう。気が向いたら聴こうかな」
「うんうん、是非そうして。このドクター、ただのイケメンじゃなくて、実は辛い過去を背負ってたりもして――」
佳代がますます勢いづいて熱い語りに入ったその時、トントン、とドアがノックされる。
維心さんかな? そう思って「はい」と返事をすると、入ってきたのは意外な三人だった。
「おう、久しぶりだな早坂」
「課長……それに梶原さんと元木くんも」
先頭に清水課長、その後ろには営業二課の名コンビ、梶原さんと元木くんがいた。
みんなに挨拶もせずに産休に入ってしまったので、久しぶりに三人に会えたことが無性にうれしくて、胸がジーンとする。