溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
よかった。無事に、産んであげられた……。どっと溢れた涙で視界がぼやけ、なんともいえない感動で胸がいっぱいになる。
「悠里……ありがとう。頑張ったな、本当に」
維心さんが、すっかり力の入らなくなった私の手を握りしめ、ひと筋の涙をこぼす。
私はこくりと頷いて、「しばらく動けそうにありません」と笑った。
体を綺麗に拭いてもらった赤ちゃんの体重を測定すると、推定体重より少し重く、二千七百グラム。
小さめだが産声は立派で、呼吸も安定しているので保育器に入る必要もないそうだ。
おでこに残った吸引分娩の赤い跡も、すぐに消えるので心配はいらないらしい。つまり、母子ともに健康だ。
「かわいい」
タオルにくるまれた赤ちゃんを胸に乗せてもらうと、小さな体から伝わる体温、なんともいえない甘い香りがたまらなく愛しい。
「ああ……本当に小さいな」
その後で維心さんも、緊張の面持ちで赤ちゃんを抱っこした。
体重の重い私を抱き上げるのには慣れている彼が、小さくて軽い赤ちゃんの扱いには戸惑っていて、おっかなびっくりな様子で我が子を抱く姿が微笑ましい。
予期せず入院となった妊娠生活も、出産も、想像していたよりずっと大変だった。
それでも我が子の誕生は、今までの苦労を忘れさせてくれるほどに幸福で大切な記憶として、私の胸に深く刻まれた。