溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
心の中でそう問いかけて見るものの、維心さんは何事もなかったかのように私のシートベルトを締め、乗り出していた体を運転席に戻す。
その横顔はすでにクールな彼のそれ戻っていて、キスの意味も謝られた理由も推し量ることはできなかった。
気持ちのないキスだった……ってことかな。目の前に私の顔があったからついしただけで、それ以上の意味はない。だから謝ったとか?
ダメだ、勝手に彼の心境を想像すると落ち込む。
「い、維心さん。私はもうあなたの奥さんなんですから、キスくらいで謝る必要はありません。もっと堂々としてくださっていいです」
車を発進させようとしていた彼が、一旦動作を止めて私を見る。相変わらず感情の読めない表情だけれど、なにを思っているのだろうか。
「悠里、それは……」
「はい」
「いつでも、どこでも、何度でも、どんなキスでもか?」
「はい?」
急に目の色を変えた彼がずいっと顔を寄せてきたので、思わず後ろに身を引いた。
いつでもどこでもって……維心さんは一体、どんな状況でキスするつもりなの?