溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「あ、ある程度はTPOを考慮していただきたいですかね……その、日中の街中とかは、さすがに困るので」
質問の意図が読めないので返答がこれで正しいのかも不明だが、しどろもどろになりながらもそう答えた。
しかし維心さんは納得していないのか、ますます顔を近づけてきて質問を重ねる。
「日中の車内は? さっき一度してしまったから、後は家に着いてから?」
「え……っ」
維心さん、今ここでするつもりなの? というか、もしダメだと言っても、家に着いたらする気満々に聞こえるんですけど。
高鳴る胸の音を聞きながら、思わず窓越しに車の周囲を確認する。ここは住宅街でもともと人通りは多くないので、外を歩いている人はいない。
「み、短めのやつ、一度でしたら」
羞恥に耐えながら、蚊の鳴くような声でなんとか返事をする。
私たち、なんて変な会話をしているんだろう。キスをする前に、その種類や回数を真面目に相談し合うカップルなんて、聞いたことがない。