溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
でも、結婚の目的は子どもを授かることなのに、どうしてそんなにキスがしたいのかな。
妊活のために体力をつけろとも言われているし、もしかしてそっち方面の欲求がすさまじく強いとか? 普段は全然そんな風に見えないけれど。
一緒に暮らすのは今日から。ということは、ベッドを共にするのも今日の夜から。
私で本当に、彼の相手がつとまるのだろうか。海辺の街へ向かう車に揺られながら、私はさっそく彼との妊活に一抹の不安を覚えていた。
前回の下見では窓からの景色に気を取られているうちに突然のプロポーズをされたため、動揺してきちんと見る暇がなかったけれど、新居のマンションはやはり素晴らしかった。
間取りは主寝室に加えふたつのベッドルームを兼ね備えた3LDK。三十三帖の広さを持つLDKは曲線的な形をしている。
南側の壁は全面窓ガラスで、車で混雑したレインボーブリッジや太陽を反射してキラキラと揺れる海、行き交う釣り船や観光船が見える。前回の夜景もよかったけれど、昼間の眺望も抜群だ。
「悠里。景色を楽しむのはそれくらいにして、荷物を整理した方がいいんじゃないか?」
「あ、ごめんなさい。つい……」