溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
どきりとして見上げた彼は、鋭く細めた目に甘い熱を宿らせながら、どこか感情を抑えたような声音で語る。
「極力、きみを壊さないように善処するつもりだが……さっき我慢した欲求を、解放してもいいだろうか」
「さっき?」
なにか彼を我慢させるようなことをしたっけ?
思い出そうとするけれども、私の意識は今現在の維心さんに囚われて、他のことを考える余裕がない。唇に触れたままの指は、もったいつけるような動きで左右に唇をなぞる。
ドキン、ドキン、という心臓の拍動に全身を支配され、ただ困ったように彼を見つめると、身を屈めた彼が私の耳もとで告げる。
「きみに、決して軽くはない、そして一度では終わらないキスがしたい」
その甘い甘い囁きは私の心臓を貫き、幸福なのに苦しくて、笑いたいのに涙が出そうになる。
薄々感じていたけれど、女性を求める時の維心さんはとても情熱的になるようだ。
知れば知るほど、好きになる。溺れてしまう。
たとえ維心さんが、私を生物学上の『雌』としかとらえていなくても――。