溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 維心さんの勧めで、夜は私が先にお風呂に入らせてもらった。

 その間、なんと維心さん自らキッチンに立ち、夕食を用意してくれるそう。ひとり暮らしが長いので料理には自信があるらしく、私はなにも手伝わなくていいと言われてしまった。

「明日からは私も頑張らないとな……料理苦手なんだけど」

 足を伸ばせる広い湯船に浸かりながら、思わず呟いた。

 前の家では節約生活だったし、キッチンが狭くてあまり料理をする気にはなれなかった。

 作ったとしても、魚肉ソーセージを使ったなんちゃって親子丼とか、肉の入っていない麻婆豆腐とか、インスタントラーメンにモヤシ炒めをのせただけとか、貧乏くさい料理ばかり。維心さんの口に合うわけがない。

 とりあえず、今日彼が作ってくれた料理で、少しは味付けの好みとかがわかるといいな。

 前向きに考えながらお風呂から上がり、楽なパイル地のルームワンピースに着替えて、スキンケアとヘアケアを済ませる。

 仕事中低めの位置でお団子にしている長い髪は、食事の時に邪魔にならないようサイドで緩くまとめた。

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