溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
すっぴんを見られることに少し緊張しつつ、リビングダイニングに戻る。
「お風呂、いただきました」
「ああ、こっちもちょうどできたところ――」
対面型のキッチンで返事をした維心さんが、私の顔を見て固まった。何度か瞬きした後、私の足元から頭のてっぺんまでをしげしげと眺め、ごくっと喉仏を上下させて唾を飲む。
「あ、あの?」
「ああいや、きみのその格好、妊活に対する心意気が感じられて、好感が持てるなと」
妊活に対する心意気? いや、まったく意識はしてないし、むしろ、ワンピースとか足元を冷やす服は避けた方がいいような……。
維心さんの褒めポイントがよくわからず改めて自分の格好を見下ろしていると、キッチンからゴホッと咳払いが聞こえたので、顔を上げる。
目が合うと維心さんはパッと視線を逸らし、ほんのり頬を赤らめた。
「……男をその気にさせる無防備な格好、という意味だ」
照れくさそうにボソッと呟いた彼に、こちらまで恥ずかしくなってしまった。
そんなに気合を入れたルームウエアというわけではないけれど、維心さんのツボには偶然うまくハマったってことかな? とりあえず喜んでおこう。