溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
会社では見せない、肩の力が抜けた笑顔を浮かべてそう言った維心さんに、心臓がきゅっと縮む。同時に、少し欲張りな思いが私の胸をつつく。
妊活や子作りのことは関係なしに、こんなふうに笑い合える時間をずっと続けていけたらいいのになって。
愛されなくてもいいから、穏やかな結婚生活を積み重ねていくうちに、彼にとって私が、居心地のいい居場所になれたらって。
なんて、多くを望んだところで最後に痛い目を見るのは自分なんだけど……。
スタミナ食材たっぷりの夕食を食べた後、私が食器洗いをしている間に維心さんはお風呂に入りに行った。
食後は意識的に水をたっぷり飲んだけれど、やはりニンニク臭は簡単には取れない。おそらく歯を磨いたとしても同じだろう。
夫婦でお互い様だからいいのだろうか。いや、新婚初夜の思い出がニンニク味のキスなんて、やっぱりロマンティックさに欠けるよ……。
鬱々しながらもキッチンがほぼ綺麗になった頃、肩からタオルを掛けた維心さんがリビングダイニングに戻ってきた。
涼しげなブルーの半袖Tシャツと、同色のハーフパンツのセットアップ姿は、楽ちんにも見えるけれどどこかお洒落。流行のワンマイルウエアというやつだろうか。
その上まだ半分濡れた前髪が目にかかって、なんともセクシーだ。