溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 いつも通り先輩たちに挨拶しながら自席で仕事の準備をし、朝礼の時間を待つ。

 朝礼はいつも休み明けの木曜日、始業時刻ちょうどに営業部全体で実施され、今週の予定、会社全体の売上げなどの数値、連絡事項などの共有をする。

 その中に自分のプライベートな話が加わると思うと、どんな顔をしていたらいいんだか……。

 悶々としているうちに朝礼の時間になり、皆が維心さんのデスク周りに集まった。通常通り、各課の課長が事務的な連絡を始める。

 しかしその内容が今日は頭にあまり入ってこず、これではいけないとパッと顔を上げた瞬間、ちょうど維心さんと目が合った。

 彼は私に軽く目配せをすると、一連の連絡事項を終えた課長と入れ替わるようにして、皆の前に立つ。

「最後に私から報告があります。悠里、こっちへ」

 突然私を下の名前で呼び捨てした彼に、集まっている社員たちが一瞬ざわつく。

 うう、今まで地味な生活を送ってきたから、こんなに注目されるなんて人生で初めてかも……。

 慣れない緊張感に包まれ手と足が一緒に出そうになりながらも、なんとか維心さんの隣に歩いていった。

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