溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
そういえばあの日、課長は妙にニヤニヤしていた。あれは、私が維心さんにプロポーズされることを知っていたからだったんだ。
それなら、課長はプロポーズの動機についても知っているのかな? 維心さんが正直に話したとは限らないけれど……。
「あの、課長。部長についてちょっとお聞きしたいことがあります。いつでも構わないのでお時間いただけますか?」
「ああ、もちろん。今日は結婚祝いに昼飯でも奢るよ」
「ありがとうございます」
私がお礼を言うと、課長は「うん」と優しく笑って、自分の席に戻っていく。
ほんの少しでいい。維心さんの心の中を覗きたい。それがたとえ、私を傷つけるものであったとしても……本当のことを知りたい。
とりあえず、課長と問題なくランチが取れるように午前中の業務を頑張らなくては。改めて気合を入れ、デスクに向かった。
時計の針が十三時を回った頃、ちょうど外回りから帰ってきた課長と連れ立って、課長おススメの洋食店に向かった。
外観はナチュラルなカントリー調で、外には数組の行列ができている。私たちもそこに並びつつ、店頭のブラックボードに書かれたメニューを読んで、なにを食べようかと楽しみながら悩んだ。