溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
十分弱で案内された店内は、ドールハウスに迷い込んだような、かわいらしいインテリアに囲まれていた。
手書きのメニューも温かみがあって、料理の味も期待できそうな予感だ。
「私、クリームコロッケ定食にします」
「ほう。なるほど。俺は腹が減ってるからミックスフライにしよう」
店員に料理を頼むと、お冷に口を付けてひと息つく。すると、課長の方から話を振ってくれた。
「で、早坂は部長のことが聞きたいとか言ってたよな。俺に答えられる話ならいいが」
「はい。単刀直入にお聞きします」
私は深く息を吸い、真剣な目で課長を見つめる。
「桐ケ谷部長が私を選んだのは、子作りのため――ですよね?」
昼間にする話ではないという自覚はあるので、若干声を潜めて尋ねた。課長は怪訝そうに「えっ?」と首を傾げる。
「私は営業部の女性社員で一番年下。体もいたって健康。だから、子を産ませるための道具として結婚相手に選ばれた。そう思ってるんですが、違いますか?」