溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「いや~、疲れました。もうあのオーナーさんと関わりたくないです」
すかさず梶原さんが口元に人差し指を立て、「シッ」と注意する。
「元木、声が大きい」
「だって完全にセクハラですよ。あんなにべたべたボディタッチしてきて、挙句『お若いから、エネルギー有り余ってるでしょ? ひと晩でいいから……ね?』ってセリフ」
どうやら、元木くんは営業先で女性に迫られたらしい。うんざりしたようにそう言い、お冷のグラスを勢いよく傾けて水を一気飲みする。
「ずいぶん強烈なオーナーさんに会ってきたんだな」
課長が思わず苦笑すると、元木くんは疲れたように深いため息を吐いた。そんな彼を憐れみの目で一瞥した梶原さんが、課長に説明する。
「ええ。どうも若い男が好みのようで。『いいじゃない、男なら好きじゃない女でも抱けるでしょ?』ってしつこくて」
梶原さんの話した女性オーナーのセリフに、私は思わずドキッとした。
男なら、好きじゃない女でも抱ける。よく耳にする話ではあるけれど、実際のところはどうなんだろう。
せっかく、年齢や性格もバラバラな男性が近く三人もいるのだ。いい機会なので聞いてみよう。