溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

「早坂、勘違いするんじゃないぞ。これはあくまでもこいつらの個人的な意見だ」

 まるで私の考えを見透かしたかのように、課長がそう言ってフォローする。

「じゃ、課長はどう思われるんです?」
「そうだな……」

 課長は腕組みをし、しばらく悩んでから口を開いた。

「そりゃ、俺にもカミさんがいるから、恋人や夫婦間の愛がある行為が一番理想だとは思う。しかし、お互いの社会的、精神的、肉体的状況によっては、愛のない行為に救いを求めるというのも、理解できなくはない……かな」

「なんか、難しいですね」

 元木くんは、ちんぷんかんぷんといった表情でテーブルに頬杖をつく。

「いや元木、もっともらしく聞こえるけど、この人も結局俺と同じこと言ってるだけだよ」

 梶原さんがそう言うと、彼らのテーブルにも料理が運ばれてきて、話は一旦終わりになった。しかし、私は課長の言葉を反芻し、ひとり物思いにふける。

 維心さんが私を求めるのは単なる子作りではなく、〝跡継ぎを残さなければならない〟というプレッシャーから一時的に逃れ、癒されたいという思いもあったりするのかな。

 行為自体に愛がなくとも、それによって彼の心が救われるなら、私の存在にも意味がある……?

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