溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「私、怒られるようなことしちゃったんでしょうか……」
「そういう話じゃないと思うぞ。とにかく行ってこい」
相変わらずにやついている課長をちょっと気味悪く思いつつ、私は席を立ち、営業部全体を見渡せる位置にある、彼のデスクにおそるおそる近づいていった。
部長はいつも通りのクールな表情でパソコンを覗いていた。
きりっとしたアーモンドアイを縁取る長めの睫毛に、少し厚めの尖った唇。ダークブラウンのミディアムヘアはかきあげ風にセットされた前髪が爽やかで、今日も拝みたくなるほどにカッコいい。
「あの、桐ケ谷部長、お呼びでしょうか……?」
まばゆいご尊顔を前にますます緊張しながら、遠慮がちに声を掛けた。部長はパソコンから顔を上げ、ポーカーフェイスのままで話しだす。
「ああ、早坂か。忙しいのに悪い。今夜の予定を聞きたくてな」
落ち着きのある低い声に尋ねられ、勝手に体が熱くなる。
私の片想い、こんなに重症だったかな? 自問自答しながらも、平静を装う。