溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「は、半年……くらいかな」
「そっか。結構長いんだなー。全然気づかなかったよ」
冷やかすような笑顔を向けられ、あはは、と照れたように笑う。
ごめん、元木くん。真っ赤な嘘です。半年前は、ただの片想いでした。
嘘をついた罪悪感にちくちく胸を刺されつつ、一階に到着したエレベーターから降りる。そして、ビルの出口に向かって歩いている途中のことだ。
「でもさ、今、部長とうまくいってないんじゃないの?」
横に並んだ元木くんがからそんな質問が飛んできて、私は思わず足を止めた。
「え?」
かろうじてそう聞き返すと、元木くんは真面目な顔で私を見下ろす。
「昼に話してたの、部長のことだろ? 浮気でもされてるのか?」
どうやら、ランチの時に私が変なことを尋ねたせいで、いらぬ心配をかけてしまったようだ。
部長が絡んでいる話なのは確かだけれど、浮気というのは見当違いだ。
「ううん、あれは、ただ興味本位で聞いただけ」
元木くんを安心させるように笑って、再び歩きだす。