溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
晩御飯は私が作るつもりだったが、「時間がもったいない」と維心さんに却下され、帰宅途中のデリカテッセンで総菜やサラダを買って帰った。
ご飯を作って一緒に食べる、それだけでも私にとっては愛おしい結婚生活の一部なのに、彼にとっては子作りに至るまでの通過儀礼のひとつでしかないのだ。
そう思うと料理はどれも味気なく、あまり食べないうちに自分の食器を下げ、私はひとりになれるバスルームに逃げた。
気分は最悪なのに、この後維心さんとベッドを共にするのだと思うと、自然と体を丁寧に洗ってしまう自分が恨めしい。
私は維心さんが好き。彼は子どもが欲しい。利害関係があるから、セックスする。
そうやって、もっと単純に受け入れられると思ってた。
だけど、一緒にいればいるほど維心さんを好きになって、そのぶん彼との温度差に勝手に傷ついてしまう。
自分で選んだ道なんだから、お役目を全うしなきゃいけないのに……これじゃダメだよね。
長い間湯船に浸かり、どうしたらいいのか煩悶する。次第に頭がくらくらしてきて、そろそろ出なくちゃ、と思った頃、のぼせた脳裏にあるネット記事の断片がよぎった。