溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 それは、ふと時間のある時にスマホで【妊活】と調べていた時に引っかかった、ちょっと怪しい都市伝説的なもの。

 妊活に効果があるかはわからないけれど、私の心を守るためには、もしかしたら効果があるかもしれない。


「維心さん、子作りをするにあたって、お願いがあります」

 夜も更けた頃、シャワーを浴びる維心さんを寝室で待っていた私は、彼が部屋にやって来るや否や、ベッドに正座してそう切り出した。

 昨日とは色違いのグレーの部屋着に身を包んだ彼は、ベッドにぎしりと腰掛けながら聞く。

「どうしたんだ? 改まって」

 本当に、改まってなにを言おうとしているんだろう私は。もうひとりの冷静な自分がそうツッコんでくるけれど、その声には耳を貸さず、私は彼を見つめながら話しだす。

「維心さん、ご存知ですか? 妊娠するにはその……夫婦生活の時、女性が性的に燃えている方がいいのだと」

 維心さんは一瞬面喰った様子で固まったけれど、真面目な顔で頷く。

「ああ、分泌物が多い方が精子の動きがよくなるのだろう? そのことなら勉強済みだから、今夜は時間をかけてきみの体をほぐしてやるつもりだ」

 淡々と、作業内容の説明をするように語る維心さん。だけど、そんな風に冷めた感情を滲ませるようなら、女性は燃えない。

 女は、心で感じる生き物だから。

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