溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「急ぎの用なら、今ここで彼女に伝えるといい。しかしそうでないなら、悠里は私が連れて行く。これから一緒に出かけて、新しい服を買ってやるつもりなんだ」
「えっ?」
新しい服? 今日は彼の車で一緒に帰ることは決まっていたけれど、買い物に行くなんて初耳だ。
「明日は俺の家族と食事をする日だろう? しかし、きみのワードローブをすべて確認したところ、出勤用の地味な服か、カジュアルな服しかない。これを機に、華やかなフォーマルコーディネートを一式そろえてやろうと思って」
「わ、私の服、勝手に見たんですか!?」
確かに、維心さんの隣に並ぶのに相応しい服はないかもしれない。それでも知らないうちにクローゼットの中身を覗かれていたと思うと動揺する。
維心さんは急に大声を上げた私に目を丸くし、驚いた様子だ。
「ああ、悠里のことはなにもかも全部把握しておきたくて……もしかして、不快にさせたか?」
執着心を滲ませたセリフを吐いたかと思ったら、次の瞬間自信なさげな様子で私の顔を覗く維心さん。
なにを考えているのか全然わからなくて、調子が狂う。