溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「ふ、不快とまでは言いませんが……ひと言、相談していただきたかったなと」
「すまなかった。以後気をつける」
本気で反省しているらしく、しゅんと肩を落とす彼。年上らしからぬその仕草が、無性にかわいくて母性本能をくすぐられる。
こんなに素直に謝られたら、許してあげるしかないじゃない。
「あ、あのう」
不意に元木くんが声をあげたので、忘れかけていた彼の存在を思い出す。彼は私と維心さんを交互に見ると、泣き笑いのような表情を浮かべて言った。
「べ、別に急ぎの用とかじゃなかったんで、俺はこれで失礼します。お疲れさまでした」
「うん、お疲れさま。また休み明けにね」
「お疲れさま。いい休暇を」
私と維心さんのからの言葉にペコっと頭を下げた彼は、くるりと背を向けて営業部を出て行く。
その背中を、デスクの陰にいた梶原さんが慌てて追いかけ、乱暴に肩を組んで歩きだした。
休み前だし、ふたりで飲みにでも行くのかな。
「さて、悠里。帰り支度ができているなら俺たちも行くぞ」
「はい。あの、どこへ?」
「俺がよく行くセレクトショップだ。海外ブランドの商品を多く扱っている」