溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
『プロポーズ? いきなりですか?』
『ええ。私の気持ちが本物だと伝えるためには、それが有効かと思いまして。この先、彼女より結婚したい相手など現れるとは思えませんし』
清水課長は、気の早い俺の計画を聞いて目を丸くしていた。
一般的には交際を申し込むのが先なのかもしれないが、そんなまどろっこしい真似をするくらいなら、結婚を申し込んで毎日一緒に暮らし、常に悠里のそばにいたい。俺はそう思ったのだ。
『なるほど。まあ部長ほどの男なら、多少驚かれはしても喜ばない女性はいないでしょう。せっかくやるならロマンティックにするのがいいですよ。夜景を眺めながらとか』
恋愛には疎い俺なので、彼の助言をありがたく参考にさせてもらい、プロポーズの計画を立てた。
夜景を見るなら、TOKYOシティハーバーのマンションの最上階がいいだろう。資産として所有しているあの部屋に実際に住む予定はなかったが、よく考えたら新婚生活を送るのにも適している。
適当な理由をつけて彼女をそこに連れて行き、プロポーズをしよう。
婚約指輪のサイズは、いつも彼女を見つめているからだいたいわかる。あの華奢な薬指には、七号だ。
そうして着々と準備を進めるうちに季節は夏になり、ジュエリーショップにオーダーしていた指輪が手元に届く。
俺は満を持して悠里とマンションを訪れ、計画通りに求婚した。