溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
『ご、ごめんなさい。そんなにすぐ、お返事できるお話じゃないので』
しかしあろうことか、プロポーズは失敗。拒絶された指輪は床に転がり、悠里は駆け足で部屋を出て行ってしまった。
取り残された俺は呆然とし、のろのろと指輪を拾いつつ、悠里の心境を想像する。
今日のところは断られてしまったが……彼女はすぐに返事ができないと言っただけで、俺と結婚しないとは言っていない。
突然のことだったので動揺し、気持ちの整理がつかないのだろう。時間を置いてもう一度彼女に意思を確認し、それでもまだ断られるようなら、別のアプローチ法を考えなくては。
ショックではあったが、俺の頭の中には悠里を諦めるという選択肢はない。
拾った指輪を丁寧に箱にしまい直した俺は、窓から夜景を眺め、気持ちを新たにするのだった。
そんな俺の執念が届いたのだろうか。翌日、会社の資料室でふたりきりになった機会に彼女の意思を確認すると、悠里は結婚を承諾してくれた。
飛び上がりたいほどうれしい気持ちを隠しきれず、すぐに一緒に暮らそうと提案する俺に、悠里はなぜかこんなことを聞く。
『部長は……子どもが欲しいんですよね?』