恋する理由がありません~新人秘書の困惑~
「あなた、紅茶のことわかるの?」

「いえ、私はまだまだ勉強中です。でもお母様が選ぶものなら間違いないだろうなって、つい口を挟んでしまいました。すみません」

 失敗したとばかりに眉尻を下げれば、お母様が私の様子を見て静かに笑みをこぼした。

「莉佐さん」

 お母様に初めて下の名前で呼ばれ、本当に私を受け入れてくれたのだと実感が湧いてきた。それだけで感極まって涙が出そうだ。

「紅茶はね、奥が深い。実は私が何年もかけてたどり着いた究極のブレンドがあるの。万人においしいと言わせる自信がある」

「でしたら! それを新しい会社で商品化するのはどうですか?」

 気に入ったものを輸入販売するのもいいけれど、いっそのことお母様のブレンドした茶葉をブランド化してみてはどうかと、気がつけば私は提案していた。
 たいして知識のない私が出しゃばって、生意気だっただろうか。
 
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