恋する理由がありません~新人秘書の困惑~
秘書課に戻って午後の業務を始めるとすぐに、副社長室へ呼び出しの内線が入った。
丁寧にノックとおじぎをして入室すれば、いつものようにデスクでパソコン画面を見つめている副社長がいた。
「御用でしょうか」
「まあ……呼びつけるほどの用事でもなかったんだが……」
どうやら急ぎの用件ではないみたいだけれど、なんとなく言い方が妙というか歯切れが悪い。
こんなのは珍しいなと考えていたら、副社長が私の目の前まで近寄ってきていた。
「さっき、ロビーで男と話しているのを見かけた」
「あ……アナナスの永井さんです。久しぶりに会ったので挨拶を交わしていました」
「“お前”と呼んでいるのが聞こえたが、君に気があるとか?」
副社長に指摘され、思わずうつむいて大きく溜め息を吐きたくなったけれど、寸でのところでこらえた。
すべては永井さんの声の大きさが原因だ。聞かれてまずい話はしていないものの、結果的にこうして誤解を招くなら、もう少し音量は下げてもらいたかった。
「女性に対して“お前”と呼ぶ心理としては、親しい間柄であり、守ってやりたい庇護欲や独占欲のある可能性が……」
「ち、違います!」
丁寧にノックとおじぎをして入室すれば、いつものようにデスクでパソコン画面を見つめている副社長がいた。
「御用でしょうか」
「まあ……呼びつけるほどの用事でもなかったんだが……」
どうやら急ぎの用件ではないみたいだけれど、なんとなく言い方が妙というか歯切れが悪い。
こんなのは珍しいなと考えていたら、副社長が私の目の前まで近寄ってきていた。
「さっき、ロビーで男と話しているのを見かけた」
「あ……アナナスの永井さんです。久しぶりに会ったので挨拶を交わしていました」
「“お前”と呼んでいるのが聞こえたが、君に気があるとか?」
副社長に指摘され、思わずうつむいて大きく溜め息を吐きたくなったけれど、寸でのところでこらえた。
すべては永井さんの声の大きさが原因だ。聞かれてまずい話はしていないものの、結果的にこうして誤解を招くなら、もう少し音量は下げてもらいたかった。
「女性に対して“お前”と呼ぶ心理としては、親しい間柄であり、守ってやりたい庇護欲や独占欲のある可能性が……」
「ち、違います!」