恋する理由がありません~新人秘書の困惑~
「母が気に入って取り寄せているオーガニックの紅茶だそうだ。香りがいいらしい」
「いや、あの……いただけないです。そんな貴重なものをいただく理由がありませんので」
先日ロビーでご挨拶したとき、深沢部長に秘書を変えるように伝えようかとおっしゃっていたので、一目で私は嫌われたのだと思っていたけれど違うのだろうか。
「なんでも理由がいるのか?」
「え?」
「前に、真剣に恋をする理由がないと言ってたよな」
副社長が思い出したのは、ふたりで天ぷらを食べたあの日の会話だ。
『誰かに真剣に恋をする理由が私には見つからなくて……』
たしかに私はそんな発言をした覚えがあるけれど、副社長がそれを覚えていたことに驚いた。
「理由なんて別になくてもいいんだ。特に恋愛は感情優先で、理屈じゃない」
そこまで言ったあと、副社長は「話が逸れてすまない」と顔をしかめて謝ってきた。
「母はロカボやオーガニックなものが好きだと話しただろう? 君が選んだフィナンシェをどうやら気に入ったみたいでね。これはそのお返しというか、母は君にこの紅茶を勧めたいと思ったみたいだ」
「そう……なんですか」
「自分と同じ嗜好の人がいてうれしかったんだろうな。 ま、貰ってやってよ。マウント取ってきたと思わずに」
「いや、あの……いただけないです。そんな貴重なものをいただく理由がありませんので」
先日ロビーでご挨拶したとき、深沢部長に秘書を変えるように伝えようかとおっしゃっていたので、一目で私は嫌われたのだと思っていたけれど違うのだろうか。
「なんでも理由がいるのか?」
「え?」
「前に、真剣に恋をする理由がないと言ってたよな」
副社長が思い出したのは、ふたりで天ぷらを食べたあの日の会話だ。
『誰かに真剣に恋をする理由が私には見つからなくて……』
たしかに私はそんな発言をした覚えがあるけれど、副社長がそれを覚えていたことに驚いた。
「理由なんて別になくてもいいんだ。特に恋愛は感情優先で、理屈じゃない」
そこまで言ったあと、副社長は「話が逸れてすまない」と顔をしかめて謝ってきた。
「母はロカボやオーガニックなものが好きだと話しただろう? 君が選んだフィナンシェをどうやら気に入ったみたいでね。これはそのお返しというか、母は君にこの紅茶を勧めたいと思ったみたいだ」
「そう……なんですか」
「自分と同じ嗜好の人がいてうれしかったんだろうな。 ま、貰ってやってよ。マウント取ってきたと思わずに」