バーテンダーに落ちて酔わされ愛されて


お客さんが来るのは女性が多くて、あの顔でお客がきてるってのもあるけどやっぱり皆、ショーマの作るお酒の虜になって通い続けることが多い。


ショーマのカクテルを飲めば誰だってイチコロよ。



出してくれるフルーツもチョコも全てが一級品で、美味しいのは当たり前で完璧だもん。




「はい、どうぞ」


「ありがとう」




ロングのグラスに色は茶系…はて、なんて名前のものだろう?


「甘口だけどいい?」と確認してきたショーマだけど、作ってから確認するあたりダメじゃん。


いや、辛口も甘口も飲めるんだけどね。



ショーマの作るものならなんだって美味しく感じちゃうし飲めちゃうから不思議。何か魔法でもかけてるんじゃ?とファンタジーな考えをしてしまうくらい美味しいの。

「ショーマが作るものにハズレなんてないから」


「今日はどうしたの?やけに褒めてくれるじゃん」


「いつもそう思ってるよってこと」


「そ」




あ、また照れてる。栗色の髪から見え隠れする耳がまた赤くなってるのが見えて可愛いななんて思った。


5つも年上なのに、小さいころはお兄ちゃん感が強かったのに今じゃそれを不思議と感じない。


お兄ちゃんって言うよりも___…




「ねぇアヤナ」




グラスに口をつけようとしたあたしの名前を呼んで、動きを止めさせたショーマを見ると、見つめられるその瞳に囚われたように動けない。



ユアも整った顔をしていたけど、それ以上に整った綺麗な顔をしているショーマに見つめられ幼馴染と言えど、多少は免疫がついていると言えど、自称面食いのあたしの心臓はドクドクと高鳴る。

あー…もうなんであたしショーマにドキドキしてるの、やばいって。




「な、なに?」




でも、それ以上に…




「俺と付き合わない?」




___ショーマが心臓を止めてくるような発言をした。




「え?…なに、冗談?」




冗談…にしてはおかしすぎる、どうしてそんな真剣な表情をしているのか分からないよショーマ。


こんなに真剣な顔をしたショーマを見たことはないし、じっと見つめるその瞳を逸らす気配は少しもないからあたしから逸らすこともできず、カウンター越しに10秒、30秒、1分…どれくらい見つめ合ったか分からないけど長く見つめ合っていたような気がする。

周りの音も聞こえなくて、この空間にあたしとショーマしかいないような感覚に陥る。




「元気、でた?」


「へ?」




あまりの出来事に馬鹿が分かってしまうほど素っ頓狂な声が出た。


気づけばさっきの真剣な表情はもうしていなくて、いつもの柔らかい表情に戻って仕事を再開していた。



グラスを拭きながらあたしの話し相手をするショーマ。




「冗談だったなんて…ビックリしたじゃん」


「その為に言ったからね」


「ったく、ありがとう。でもショーマと付き合える人は幸せだね。気が気じゃないだろうけど」




こんな人が彼氏になったら幸せの絶頂期を迎えるんだろうけど、仕事はバーテンだしめっちゃモテるし心配ばっかりしちゃいそう。

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