導かれて、放れられない
「増見さんも、飲んでください!」
そして、増見もかなりの人気者でホステス達に事あるごとに話しかけられていた。

天聖達のいるVIP席は、とても賑やかだ。

「私、ちょっとお手洗いに行ってくるね」
智実に耳打ちして、席を立った桔梗。
洗面台の鏡の自分の顔を見つめていた。

「地味だよなぁ……
周りが華やかだから余計に……」
そこへホステスが入ってきた。
No.1ホステスの輝美だ。
「失礼」
「あ、すみません」
桔梗は端に避けた。
化粧直しをし、香水をつけて直している輝美。
そのひとつひとつの動作が綺麗だ。

思わずうっとりとして見ていると、目が合いニコッと微笑んできた。
「なにかしら?」
「あ、すみません!お綺麗だなぁって思って……」
「ありがとう!
あなた確か、天聖様や増見さんといた方?」
「あ、はい」
「あなたのような方がなぜ?
どこかのご令嬢とか?
じゃないと、天聖様の傍にいれるわけないわ!」
「え?ごく普通の家庭ですが……」

「天聖様はこの世界の王子様みたいな方なのよ。
そんな方とあなたみたいな地味な女がなぜ?
増見さんとも、仲良く話をしてたし……
あなたといても、なんのメリットもないでしょ?
そう思わない?」
余裕の笑みで微笑み、去っていった輝美だった。

そんなこと、桔梗が一番わかっている。
でも天聖が“放さない”と言っている以上、放れるつもりない。
傍にいてほしいと言うなら、ずっと傍にいる予定だ。
天聖が望むなら、なんでもしたいのた。
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