とろけるような、キスをして。
「あ、野々村さん。おはようございます」
「おはようございます。今日もよろしくお願いします」
「こちらこそ。よろしくお願いします」
すっかり仲良くなってしまった私たちは、協力しながらなんとか二人で仕事を回している。
「もうすぐ受験があるから、そろそろ入学願書が届く時期なんです。多分来週からはもっと忙しくなるので、今週中に広報関係を終わらせちゃいましょう」
「わかりました。私こっちやりますね」
「ありがとうございます」
そうか。そろそろ受験シーズン本番か。
すっかりそんなものとは無縁の生活だったからか、イマイチまだその空気に乗り切れていない感覚はある。
しかしすれ違う先生方は皆ピリピリしている。ここの生徒の大学受験もあるし、就職組の試験もまだ終わっていない生徒がいるから当たり前か。
とにかく、学校という職場は年中忙しい。
受験に関する広報資料を作成しているうちに気が付けばお昼になり。
次は一ヶ月前から滞っているらしいWebサイトの更新もしないといけない。
食堂に行く時間ももったいなくて千代田さんと一緒に、それぞれ自分のデスクでお弁当を食べた。
仕事をしながら食べるのがあんまり好きではないから食堂でいつも食べていたものの、今日のタスクを終わらせないことには来週は残業確定になってしまう。
それに千代田さんは残業できないから、一人で残ることになるのは確実だ。それはいろいろと困る。
午後もパソコンのキーボードを叩く音と、予鈴と本鈴の音だけが響く空間。
「……ふぅ。終わった」
やっと一息つけた時には、窓の向こうはすでに夕焼けを通り過ぎ、薄暗くなっていた。