とろけるような、キスをして。
「いや、ちょうど野々村さんが見えたからつい……」
「もう、気を付けてくださいね。……それより、私に何かご用でしたか?」
「そうそう。ちょっと、頼みたいことがあって。定時過ぎたのに申し訳ない」
「それは全然。なんでしょう?」
急いで帰ったって用事も無いし、教頭先生の負担を減らさないと、この人多分無理しそうだし。
そう思って二つ返事で了承すると、鍵を一つ渡される。
「悪いんだけど、旧校舎にある図書室から今年度の行事のDVDを持ってきて欲しいんだよ」
「行事……ですか?」
「そう。来年度の行事について明日職員会議があるんだけど、そこで使うのに持ってくるのをすっかり忘れてて……」
「わかりました。探して職員室にお持ちしますね」
「助かるよ。ありがとう」
教頭先生を職員室に戻るように促し、受け取った鍵を持って廊下を進む。
旧校舎の図書室には就職してから忙しくて行けておらず、久し振りに足を踏み入れた。
前回来た時と変わらない空気に、何故だかホッとする。
相変わらずここは滅多に使われていない様子。
そんな図書室の奥、鍵がかかっている学校に関わる資料が置かれているスペースに入る。
ここは昔、修斗さんが開けていたのをちらっと見させてもらったから大体の配置はなんとなく覚えている。