とろけるような、キスをして。
「今学校中で、すごい噂が回ってるのって知ってますか?」
「はい。私と深山先生の噂ですよね」
真っ直ぐに立花さんを見つめると、逆に向こうの方が驚いたような顔をする。
「……はい。それで、その……。
深山先生と付き合っているっていうのは、本当なんですか?」
まさかの直球勝負に、今度は私が驚いた。
彼女の話では、修斗さんはあんなに綺麗な顔をしているのに女っ気が全く無く、あまりにも浮いた話が無いため一時期男性が好きなのではという噂が流れるほどだったと言う。
それが急にお弁当を持ってくるようになったり、私を車に乗せているという噂が回ったり、デートの目撃情報が回っていたり。
……だから、こんなに大袈裟に噂が広がったのか。
修斗さんの浮いた話なんて今まで聞いたこともなかったから、生徒からすれば格好の餌食となってしまったのだろう。
当事者からすればいい迷惑でしかないが。
「一度、入学してすぐに深山先生に聞いたことがあるんです。先生の好きなタイプはどんな女性ですか?って。そうしたら、"例えるなら……猫みたいな子。可愛くて、放っておけなくて、守ってあげたくなるような"って言ってて」
「……」
「……それってもしかして、野々村さんのことなんですか?」
か細い声に、私は息を呑む。
可愛くて、放っておけなくて、守ってあげたくなる子。
猫みたいな子。
『可愛い黒猫の"みゃーこ"って感じ』
修斗さんと出会った時の言葉を思い出す。