とろけるような、キスをして。


 そこは、高校とはまた別の銀杏並木の中心にあって。この時期は散った銀杏の葉で辺り一面が黄色に染まる、とても綺麗な場所。


この街に七年ぶりに足を踏み入れた私は、ここに来るのは幼い頃、お盆にお墓参りに来て以来だった。



「……こんな大切な場所に、俺も一緒で良かったの?」


「……うん。どうしても一人じゃ怖くて。修斗さんが一緒なら、来れる気がしたから」


「……そっか」



 ここは、数多の人々が静かに眠る、墓地だ。
私の両親が七年前に納骨されたお寺の隣にあり、晴美姉ちゃんに散々場所を告げられていたにも関わらず、今まで怖くて行けなかった場所。



「ここに来ると、本当に両親は死んだんだって突きつけられるような気がして、怖くて来られなかった。高校にいる間も、卒業してからも」



 並んで歩くと見えてくる、"野々村家之墓"の文字。


ここも、誰かが定期的に掃除してくれているのだろう。雑草一つ生えてなく、とても綺麗だった。


 墓石に刻まれた両親の名前を指でなぞる。不思議と涙は出ず、なんだか穏やかな気持ちだった。


汲んできたお水で墓石を洗い、先生に持ってもらっていた仏花を備える。


墓石の前にしゃがみこみ、両手をそっと合わせた。


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