託宣が下りました。

 その一瞬、スライムが収縮したのが見えました。
 そして次の瞬間、弾けるように膨張し――

 スライムの全身から、つぶてのような何かが発射されました。

「―――!」

 直前にわたくしはソラさんを地面に倒し、その上に覆い被さるように自分も伏せました。

 そのわたくしのすぐ上を、つぶてが次々と通り過ぎていきます。背中に風圧がかかるのです。背筋がひやっと恐怖を訴え、全身が緊張に固まります。

 つぶてはひとしきりわたくしたちの上を飛び抜けてゆきました。やがてそれがやみ……、

 わたくしは伏せたまま、目をうっすらと開けて――全部開けて見るのが恐かったので――近場の様子を確認しました。

 少し離れたところに、つぶての正体が落ちていました。ぽよよんと揺れる、スライムの体の一部……

「ヨーハン様?」

 気がつけば彼の気配がありません。はっとしてわたくしは跳ね起きました。

 前方では巨大スライムがぽよよんぽよよんと体を震わせながら、悠然と構えています。そして……

 その巨大スライムとわたくしのちょうど中間辺りで倒れている、ヨーハン様の姿――。

「……っ! ヨーハン様!!」

 わたくしは彼に駆け寄りました。そしてその様子に愕然としました。つぶてを全身に受けてしまったのか、あちこちから血が出ています。きっと打撲もしているに違いありません。下手をしたら骨折しているかも……!

「う……」

 良かった、まだ動いてる。わたくしは地面に手をついて「ヨーハン様、しっかり!」と呼びかけました。

「アルテナ様……良かった、ご無事ですか……」

 うっすらと目を開けた彼は、苦しげに微笑みました。「さすがですね」と。

「今のは勘ですか? それとも星の巫女としての託宣ですか?……」
「そ、そんなことは今はいいですから……!」

 実際わたくしにも分からないので答えようがありません。今はそれよりも手当をしなくては――って、

「あ……っ。や、薬草がない」

 あれだけ持っていた薬草がどこにもありません。どうやらこの混乱に取り紛れてどこかに落としてきてしまったようです。なんてこと!

 わたくしの独り言を聞いて、ヨーハン様が眉をしかめました。

「薬草?……そうか、あのスライムは道中その薬草を食ったかな」
「薬草を?」

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