託宣が下りました。
その確信に満ちた微笑を見た瞬間、わたくしの背中を大きな何かが駆け抜けました。
分かったのです。つい先ほどの星の声と同じ、いいえ、あれ以上の確信で。
――来る!
「おおおおおおおおっ!!!」
空から――
まるで流星が降るかのように。
誰かが、落ちてきました。片手に持った剣を大きく振りかぶって。
夜闇に包まれた空から、魔法石の灯りの範疇に入り込んだ瞬間、その誰かの姿がはっきり見えました。
「騎士……!」
「ちぇすとおおおおおおおっ!!」
巨大スライムの頭上に降りると同時。
騎士ヴァイスは剣を振り下ろしました。
閃光が走りました。ただの斬撃ではありません。光は燃えさかる炎と化し、真っ二つになったスライムの断面に燃え移ります。
騎士は二つに裂けたスライムの間に降りました。そしてそのまま体を回転させるように、剣をもう一度振り抜きました。
炎がうなり声のように空気を震わせます。轟音を立てて、裂けたスライムが炎に包まれてゆきます。
……弱点を探すなんて細かいことをこの騎士はしないのです。
ただ、すべてを燃やし尽くす力業だけで。
魔術とは違う明るさが目を焼いていました。
燃え上がるスライムを背後に、剣を下げた騎士がこちらへ歩いてきます。顔は逆光になってよく見えません。
炎が美しく散りました。
まぶしい、けれどまばたきをしたくない。
あまりにも鮮烈な光景。ましてそれを背にした彼は――
この世のものとは思えないほど凜々しく、たくましくて。
「巫女。大丈夫か」
……その、声を聞いた瞬間。
すべての力が抜けて、わたくしはその場にくたりとくずおれました。
「おわ!? み、巫女!」
「――大丈夫です、騎士よ……すみません」
そうは言ってみたものの、力が入りません。
即座に騎士がわたくしを支え、抱き寄せました。わたくしは思わず肩を縮めました。
……いつものように逃げようとは、思いませんでしたが。
「ん、酒臭い」
騎士は鼻をくんくんさせました。やめてください、臭いをかがないで!
「いや、これは……酒じゃないな。どこで匂い袋になんか触ったんだ?」
「それは……」
「あなたを狙ったやつがいるんだな。どこの誰だ?」
騎士はわたくしに顔を近づけました。真剣そのものの目が、わたくしの目をじっとのぞきこみます。