託宣が下りました。
『自分の位置を報せるとか?』
『できるが怪我をする!』
位置飛報の術とは、離れたところにいる術師に自分の位置を報せる術だそうです。
ソラさんがそれを使った場合……怪我をする。
というより、順番が逆です。術を使うために、彼女の血液が必要だと。つまりそういうことだったのです。
そしてカイ様はソラさんの魔術の師でもあるとのこと。そんなことをしていたなんて、カイ様……ご立派です(色んな意味で)。
「術を受け取ったのが洞窟の中でなあ。カイのやつ、突然怒り出したかと思うと問答無用で俺を吹っ飛ばしやがった。まったく無茶なやつだ――うっぷ」
「き、騎士? どうしたのですか」
「いや……カイの転移魔法は荒っぽくて……な。か、覚悟していないと酔うんだが、さっきの巫女の一撃で体が思い出し――うぇっぷ」
ええええ。
地面に手をつく騎士の背中を、わたくしは慌ててさすりました。
劇的な登場の仕方で助けてくれた恩人を突き飛ばしたりするものじゃありません。さすがのわたくしも深く反省です。
というかこれはどういう状況なのですか。騎士は気分が悪そうだし、ソラさんは血を流したまま地面ですやすや寝ているし、それに――。
いけない、ヨーハン様は!?
「ん……? どうした、巫女」
「ヨーハン様がいないんです……!」
立ち上がり辺りを見回します。
周辺はあちこちがれきと化していました。ここがすでに人のいない地区で本当に良かった。
しかしヨーハン様はいません。どこへ行ってしまったのでしょうか?
「ヨーハン?」
地面にあぐらをかいた騎士がきょとんとわたくしを見上げます。「ヨーハンというと、あのヨーハンか? 学者の?」
「え?」
「そうですよぅ、お邪魔してますヴァイス様~」
がれきの後ろから、のっそりとヨーハン様が顔を出しました。
わたくしはほっと胸をなで下ろしました。駆け寄って怪我の具合を確認します。
動いたわりに、悪化している様子はありません。良かった……!
「良かった、ヨーハン様。早くどこかへ入って手当てをしましょう……!」
「はは、大丈夫ですよ~。こんな怪我ほっときゃ治ります」
ヨーハン様はわたくしを優しく押しのけました。そして、
「ヴァイス様。おかげで貴重な検体が手に入りました~。倒してくださってありがとうございます~」
「別にお前を助けたわけじゃないがな」