託宣が下りました。

(……それでどうして、『男性』が苦手になったのかしら……)

 考えるにつけ、情けない思いが湧き上がります。

 恐い、と思ってしまった対象が大好きな妹だっただけに、それを認めるわけにはいかなかったのでしょうか。

 妹とはそれまで通り仲良くし続ける代わりに、わたくしは『もっと力を持つ存在』を勝手に恐がり始めたようです。対象の転化とでも言うのでしょうか?

 何にしても、相当ひねくれているような。我ながら呆れ果ててしまいます。

 ただ――。

 原因が分かったことが、わたくしの中でひとつの鍵を外してくれました。

 ラケシスは今や立派な討伐者(ハンター)ですし、彼女の力はわたくしにとっては誇り。

 そして周囲の男性たちはいい方々ばかりです。例えいざとなれば力で敵わないとしても、そもそも暴力を振るおうという人がほとんどおりません。

 昨夜のヨーハン様にしたって、わたくしを害しようとしたわけではない。
 そんな、当たり前のこと。

 まるで視界が開けたような思いです。わたくしはこれからもちゃんと、彼らと付き合っていける――。

 ……ひとりの例外を除いて。
 
(騎士)

 時に力でもってわたくしを困らせる人。彼に対してだけがすっきりしません。

(……彼と、もっと向き合わないと)

 そしてこの心の中にわだかまるものすべての正体を知りたい。わたくしは顔を上げました。


< 182 / 485 >

この作品をシェア

pagetop