託宣が下りました。
雨が近いとは言え、今はまだ明るい日差しの中の王都。
全体的に白い壁の家が多く、余計にまぶしく見えます。ときどき太陽の光がまともに差して、わたくしは額に手をかざしました。
隣では騎士が妙に弾んだ足取りで前に進んでいました。
「うむ、二人で町を歩くというのはやはりいいな!」
「そ、そうですか?」
「俺はこの都が好きでな。あなたにも見てもらいたかったんだ。修道院にいるとなかなか外に出ないだろう? もったいなくてな」
「………」
「いずれ俺たちの結婚式では町を練り歩こう!」
「っ」
興奮気味で話し始める騎士を止める方法が分からず、わたくしは騎士の背中を思い切り叩きました。どふうと騎士がのけぞります。わたくしはしどろもどろでした。
「け、結婚なんかしませんよっ?」
「何故だ。この間のあれはもう許してくれたも同然――」
「言わないでくださいっっっ!!!」
もう、もう。お願いだからこの間のことは言わないで。わたくしだって自分の気持ちに整理をつけるのに苦労しているのですから。
……この人のことが好き。それは認めるとしても。
わたくしにだって都合があるのです。簡単には恋愛に走れない都合が!
前を向き、わたくしは騎士を無視して大股に歩き始めました。待ってくれと騎士が後ろを追ってきます。
そこから再び二人で歩く町中……
「ヴァイス様! ごきげんよう!」
「お連れさんは誰だい?」
人通りの多いところを歩くと、騎士にかかる声の多さに驚かされます。さすが勇者の片腕です。
「お連れさんは恋人かね? とうとうヴァイス様にもいい人ができたのか!」
「残念ながらこれは妹の友人だ」
騎士は固い口調で言いました。あまり嘘をつくのがうまくないようです。
でもここでわたくしの正体を明かしてしまっては、変装の意味がありません。
「何だ残念。早くいい人見つけなよ、いつまでも修道女の尻なんか追いかけていないでさ!」
わたくしはどきりとしました。
当然のことながら、騎士の行状はみんな知っているのです。
「尻なんぞ追いかけとらん」
「なーにを。早く子を作るとかあれほど言っていたくせに」
「………」
わたくしはしらっとした目で騎士を見ました。外でもそんなこと言ってるんですかこの人は。