託宣が下りました。

 騎士は目をそらしました。

「あれは言葉の綾だ。いや子は一刻も早くほしいがな、ほしいのは巫女のすべてだ!」

 ()()()――。

 かっと顔が熱くなりました。わたくしは慌てて下を向きました。こんな顔、騎士にも町の人にも見せられません。

 熱っぽい耳に、騎士の話し相手が大笑いするのが聞こえてきます。

「はははいつもの調子だねえ、うまくいくことを願っているよ!」

 おうとか何とか騎士が応えていますが、もうまともに聞こえません。

 もしやこんな会話をいつも町中でしているのでしょうか、この人は? そんなの――そんなのずるいです。

 再び歩み始めても、わたくしはずっとうつむき続けました。右から左から、騎士への声がかかります。

「巫――いや、どうした?」

 やがて人が減ったところで、騎士が声をかけてきました。
 手が頬に伸びてきます。それを思わず払いのけ、逆につねってやりました。

「な、なんだ? 何が気に入らなかったんだ?」
「気に入らないとかという話ではありませんっ」
「じゃあ何なんだ?」
「わ、分かりませんけど」

 どうしてもつねらずにいられなかっただけです。わたくしはぷいとそっぽを向きました。

「何なんだ???」

 騎士が疑問符を散らす気配。無視して一人で歩き出します。

 シェーラとの約束の場所は修道院から少し離れた、公園にある四阿(あずまや)――。


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