託宣が下りました。
「わたくしは受け取ってないわ。いつ出したの?」
「え? いつって、手紙を受け取ってすぐ――え?」
シェーラの顔色が青ざめていきます。「うそ、郵便事故?」
「魔王がいた時期ならいざ知らず、今現在郵便事故は考えにくいですね」
レイリアさんが静かにそう言いました。「どちらかと言えば、勝手に検閲されて握りつぶされたのでは」
「に、握りつぶすって。そんな大層なこと書いてな――」
言いかけてシェーラは口をつぐみました。だんだんと、肩が落ちていきます。
「シェーラ?」
「……大層なことでは、ないけど。愚痴は書いた……。星祭りに対する修道院と王宮の対応があんまりだったから、腹が立って」
「王宮に対する批判ですね」
レイリアさんがずばりと切り込みます。「見る人によっては隠されるでしょう。まして手紙の相手はアルテナ様です」
「あ、アルテナだと何がいけないの?」
「アルテナ様のお父上は反王宮派ですから。加えてアルテナ様は、民衆に人気のある勇者パーティと懇意にしておられます」
「そんな……」
わたくしは呆然としました。そんな話題を口にするのもいけないほど、王宮は敏感になっているのでしょうか?
「王宮は今人気取りに必死です。何せ王太子とその妹君の人気のなさが尋常ではありません――ずっと隠していたのですが、だんだん隠しきれなくなってきたんですね」
「ちょ、レイリア、そんなこと言って大丈夫なの?」
「平気でしょう。そのためにヴァイス様はこの場を離れたんですから」
「え?」
話にまったくついていけません。「え、どういうこと? 騎士が何を?」
「シェーラお嬢様は修道院を出たところからつけられていました。ヴァイス様はその連中を捕まえにいったんです。ですから、今なら周りに誰もおりません。何を話しても大丈夫」
「―――」
わたくしとシェーラはあ然とするばかりです。レイリアさんだけが落ち着き払って座っています。
(な、何だか騎士と通じ合っているみたい……)
そこはかとなく悔しい。わたくしはレイリアさんをこっそりにらみました。
それにしても――王太子様の人気のなさ?
(ラケシスの言っていた、気弱な王子様……?)
妹の話を信じるなら、たしかに未来の王として戴くには不安のある人物です。
そしてその妹、エリシャヴェーラ様。
ここしばらくの間、わたくしの身に起こっている騒ぎの原因――と思われる人。