託宣が下りました。

 もしもこの家に入るのなら――
 この人たちが、わたくしの家族になる。

「………」

 ざわめく胸の上に手を置いて、ひとつ深呼吸。そうして、わたくしはゆっくり歩いてくれるウォルダートさんの背中を追いました。


 一室で化粧を落としてもらい、湯浴みをさせていただき、着替えを女性の(かた)に手伝ってもらって小一時間。

 服は本当に修道服が用意されました。喜んでいいのか分かりませんでしたが、鏡に映った自分は完全に修道院にいるときの自分でした。

 それを見るとほっとしてしまう。何だか、あるべき自分に戻ったようで。

(……やっぱり、修道女でいたいのかしら。わたくしは……)

「御用意はお済みですか。アルテナ様」

 ノックのあと部屋が開き、ウォルダートさんが入ってきます。

「これからどこへ?」

 わたくしは気になっていたことを尋ねました。
 するとウォルダートさんは目元にしわを浮かべて笑みを深くし、

「いらっしゃればお分かりになります。参りましょう」

 と腕を部屋の外へ向けました。


 広い階段を昇り、一度だけ曲がったあと、まっすぐ行った先――

「こちらです」

 ウォルダートさんが、大きな扉の前で立ち止まりました。

「これは……」

 わたくしは息を呑みました。扉の意匠。見覚えのあるデザインです。
 ……修道院で毎日目にしていた、星の神々のシンボルと同じデザイン。

 この部屋は、まさか――?

「中で、お待ちです」

 それを聞いたとたん、とくんと胸が弾みました。
 彼が、中で待っている――


 ウォルダートさんが静かに扉を開けます。

「ん」

 騎士が振り向きました。わたくしを見て、嬉しそうに微笑むその顔。
 子どものように弾んだ声で、彼は両手を広げました。

「待っていたぞ。ここがあなたの部屋だ、巫女」


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