託宣が下りました。
わたくしの部屋……?
困惑するわたくしをよそに、ウォルダートさんが深くお辞儀をして扉を閉めます。
部屋の中にはわたくしと騎士だけが残されました。
「どうだ。少しは気分が晴れたか?」
「あ……は、はい」
そう言えば具合が悪いと思われていたのでした。勘違いが申し訳なくて、精一杯の笑顔を浮かべてみせます。
「とてもいいお湯でした。皆さん素敵な方々ですね――ありがとう」
それなら良かったと騎士は楽しげに笑います。
「屋敷についてきた連中だが、愉快なやつらだろう? 俺が怪我をして帰ってくると大笑いするようなやつらだ」
「それは愉快の一言で済ませていいのですか?」
「深刻になられるよりずっといい。家族は笑顔が一番だからな」
「………」
「ただ、今のところ四人しか使用人はいない。家がもっとにぎやかなほうがよければ人数を手配するから遠慮なく言ってくれ」
「と、とんでもない」
どちらかと言うと家は静かなほうが好みです。というか、わたくしの好みなど反映させていいのでしょうか?
そろそろと視線を巡らせてみます。
――部屋に足を踏み入れた瞬間、すべては目に入ってきていました。
けれど、信じられなかったのです。
「このお部屋……」
「あなたの部屋だ。巫女」
騎士はもう一度、誇らしげに胸を張りました。
わたくしは困惑とともに、何度も部屋を見渡しました。
まるでサンミリオンのわたくしの部屋のようです。修道院の部屋ほど殺風景ではないものの――
狭くはなく、広すぎもしないちょうどいい広さに、このお屋敷と同じ目に優しい壁色。調度品は必要最低限で、一目で高価だと分かるものの、どれも穏やかなデザインばかり。
大きい窓のところに植物がひとつ置かれていました。外国の花でしょうか……優しい桃色の花です。
そして――何よりこれがわたくしの目を奪ったのですが――空の本棚がいくつか。
わたくしは思わずそれに触れに行ってしまいました。手触りとにおい。素朴な木棚です。時と場合を忘れてわくわくしてしまいます。修道院では欲しくても遠慮するしかなかった本棚――。
この本棚に好きな本を並べたなら、何と素敵なことでしょう!