託宣が下りました。
……まあ、正式に結婚を決めていないのに部屋を用意している時点で、何かが間違っている気もするのですが。
(本当に素敵なお部屋)
わたくしはほうとため息をつきました。
静かに穏やかに暮らしたい人間にぴったりの空間がそこにあります。
しいて言えばベッドだけが大きすぎます。二人寝ても広いほどで、騎士がそのベッドを選んだならばその理由はちょっと考えたくありません。
ベッドから目をそらします。首の辺りが熱い。
そして、ふとベッドの傍らの棚の上に、何かが載っていることに気づきました。
「あれは……?」
「ん?」
わたくしはおそるおそる近づいて、顔を近づけてみました。
整った部屋の中で、その棚の上だけが奇妙に浮いていました。そこにあったのは数々の土人形――
動物や、花や、謎の生物(たぶん魔物でしょうか?)がいくつか。
わたくしは首をかしげました。ソラさん……のものにしては、造りが少し雑です。彼女はああ見えて人形作りは非常に上手ですから。
ここにあるものは、どちらかと言えば、一般の子どもたちが熱心に作ったもののような……
(それにしても……かわいい人形たち)
造りはいびつで色塗りもところどころはみ出し、時には色がまざって不気味なことになっていますが、どれもこれも生き生きと明るい人形です。見ているだけで、顔がほころんできます。
ひとつひとつ手に取って感触をたしかめていたわたくしは、やがて「あっ」と騎士を振り返りました。
「もしかして、騎士が作ったのですか?」
彼が自分に贈ってくれたのかと――図々しいながらもそう思ってしまったのです。
けれど、彼は首を振りました。
「俺じゃない。自慢じゃないが俺にはそんなまともなのは作れんぞ」
「……過去にどんなものを作りました?」
「作れなかった。何だか知らんが土人形が爆発してな。以来周りの人間が止める」
何をやらかしてるんでしょうかこの人は。大人しく工作もできないのですか。
「ちなみに俺の一家は近所ではクラッシャー一家と呼ばれている。親父殿は爆破が好きだし、モラは台所に立たせると炎上するし、ソラはよく魔術を暴走させるし、ミミとリリは人間関係を破壊するプロだ。そして俺は〝場の空気を破壊する〟とよく言われる」
「………」
「おかげで俺の実家の周辺は人がいなくなった。寂れていたのを見ただろう?」
「………………」