託宣が下りました。
わたくしは思いました。この一家はひょっとして、英雄ではなく災厄なのではないでしょうか……。
喋りながらわたくしの背後まで歩いてきた騎士は、わたくしと同じように棚の上の人形をのぞきこみます。
「それか。孤児院からもらったやつだな」
「孤児院……?」
「この間宝石ドラゴンの宝石をばらまいただろう。ほら、シェーラ殿の騒ぎがあった直前に」
「ああ――」
そんなこともありました。宝石ドラゴンから手に入れた宝石を、この騎士は孤児院や救貧院に配ると言っていたのです。あのとき、初めてこの人に感動したことを覚えています。
思えばあれが、この人がわたくしのために行動を変えてくれた最初のできごとなのかもしれません。
騎士はうんうんとうなずきながら、
「その礼にもらった。あなたが喜ぶかと思ってこの部屋に置いてある」
「まあ――」
わたくしは胸の前で手を組み合わせました。
子どもたちからのお礼。そう思うと、人形たちが揃ってわたくしたちを見て嬉しげに笑っているように見えてきます。
「本当に素晴らしいです。騎士よ……!」
はしゃぎたいような気持ちでした。修道院のお勤めにも孤児院や救貧院を回るものがありますが、わたくしはそのお仕事が大好きなのです。それに加えて、他ならぬ騎士がそのような行いをしてくれた……!
きっとこれ以上ない笑顔を浮かべられたことでしょう。そんなわたくしを見た騎士が、まぶしそうに目を細めました。
「あなたは人を助けるのが好きなんだなあ」
「……え?」
「俺も子どもは好きで孤児院にならよく差し入れをするが。たぶんあなたのそれとは意味合いが違うな」
小さな子どもをかたどった人形をつまんで目の高さまで持ち上げ、騎士はしみじみとそれを見つめます。
「子どもは尊いものだ。大きく育ってほしいと思う。だがこれは、助けたいというのとは少し違うだろう」
「騎士……」
彼のまじめな横顔を、わたくしはじっと見つめました。
口元がほころんでいきます。これも初めて知る彼の一面。
……知れば知るほど、心が温かくなる。