託宣が下りました。
 ねずみがわたくしの足下に群がり始めました。小さなその前脚をわたくしの足首に載せ、

 キーッ、キキッ

 耳障りな声で泣きます。

 爪の感触がしました。今にもわたくしの肌をひっかきそうです。
 たくさんのねずみの目がわたくしを見上げています。わたくしの胸に、何かがせりあがってきます――。

「――だれかっ」

 かすれた声しか出なかったのはどうしてだったのか……。
 まるで応えるように、店の奥から知らない声が聞こえてきました。

「……少しは、反省した?」

 反省?

 思いがけない言葉でした。ついそちらに気を取られ、わたくしの恐怖は一気に吹き飛びました。

 店の奥を見ると、ドアの陰から誰かがこちらを覗き込んでいます。淡い金髪を肩口できっちり切りそろえた女の子……

「反省した? 巫女アルテナ」
「ええと……」

 わたくしはねずみの存在を忘れて、思わずその女の子に尋ねました。

「あなたは、だれ?」
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