託宣が下りました。
「……どうして、わたくしなのですか」
ずっとずっと、聞きたかったこと。
「どうしてわたくしなんか。もっと素敵な女性はいくらでもいるのに」
目を隠したまま。彼の顔を見ないまま。
思えば彼の求婚を拒絶した根本は、このことだったのかもしれません。
彼の気持ちを信用できなかったのは他ならない、理由が分からなかったから。
彼の気持ちを信用し始めてからはいっそうに、謎でしかなかったこと。
「―――」
騎士が、身動きしたのが気配で分かりました。
わたくしが目を隠すために顔に置いた手。その手に、あたたかな手が触れました。
つぶやきは、少し楽しげな響きさえはらんだもので。
「……本当に覚えていないんだなあ、あなたは」
「―――?」
「だが、それでいい。俺は俺としてあなたを手に入れると決めたんだ、アルテナ」
触れた手をぎゅっと握られ、隠していた顔から引きはがされ。
飛び込んできた騎士の顔。はっと息をのんだときには唇を奪われ、呼吸ごと翻弄されることになりました。
「待……っ、待って……っ」
わたくしは必死で抵抗しました。今の言葉の意味を聞きたかった、こんなことをしている場合じゃありません。
しかし騎士はやめようとしませんでした。もう一度わたくしの体を服の上から何度もなぞり、形をたしかめていきます。
「前から思っていたんだが、あなたは少し痩せすぎじゃないのか。やっぱり肉を食べたほうが」
「それはわたくしの勝手です! というかお肉は関係ありません!」
「そうか? 太ってくれても俺は一向に構わんぞ、子を産む体力もつくだろうしな。それにしても」
ぺたり、とわたくしの胸を触って一言。
「本当に、ないな」
「―――!!!」
わたくしの渾身の張り手はあえなく騎士の左手に止められてしまいました。
騎士はにこりと無邪気に笑って、
「いいじゃないか。たぶんこれから育つぞ? 俺は成長を楽しみにするのは好きだ」
子どもの成長みたいに言わないでください! わたくしはいい歳です、き、期待なんかしていません……っ!!!
「嫌いです! やっぱりあなたなんて嫌い!」
なりふり構わず抵抗するわたくし、それを笑いながらかわして抱きしめる騎士――。