託宣が下りました。
とは言え、この雨で屋内に閉じこもっているため活力があり余っているのでしょう。
喧嘩も絶えませんが、わたくしだってこの二年修道院で施設回りのお勤めをしてきた身。そのくらいでへこたれたりはしません。
「ねえねえお姉さん、どうしておっぱいがないの?」
……へこたれたり、しません。
どうしても手に負えない騒ぎになったときには、その音を聞きつけた院長先生がやってきて、鬼のような形相で一喝――。
子どもたちはぴたりと鎮まり、数分後にはまた軽やかに動き出すのです。
よく泣き、よく怒り、よく笑う、めまぐるしい彼らの感情に、わたくしは知らず知らず呑み込まれていきました。
外は大雨。けれどその雨音さえ聞こえないほどに、夢中。
冷え切っていた心が暖まっていく。閉ざされていた目が徐々に開いてく。
(……他ごとを考えていてはみんなが気づく……)
『ここでは、子どもたちのことを第一に考えて』
院長先生のお言葉を思うたび、ひりひりと胸の奥がうずきました。
それはつまり、何かから逃れるための方便に、子どもたちを使うなということなのでしょう。意識してそんな口実にしようと思ったわけではなかったのですが、何も知らないはずの院長先生はわたくしの心を的確に見抜いていたようです。
一目で分かるほどに、ひどい顔をしていたのでしょうか。
……そうかもしれません。自分でも思いがけないほどに、わたくしは騎士のことで落ち込んでいた――。
でも。
子どもたちと向き合うことに夢中になるひとときがあって、そのさなかにふっと騎士のことを思い出すと、見えてくるものがまったく違いました。
彼はあのとき、姫の名前にたしかに動揺した。それ自体は変わっていないのに。
……今はただ、『その理由』を知りたい――と。
それだけを、強く。